高山研Newsletter (No.34,2003年7月)
熊本アートポリスの見学会に6月14日〜15日の一泊二日で行ってきました。初日はあいにく雨でしたが、2日目は曇りで暑くなかったので良かったと思います。参加者は、学生が40名でした。
今回の見学会は6回目ということで、見学先の選定に苦労しました。今回の見学先のキーワードは"木造"と"新築"です。毎年参加している4年生は、30近くの施設を見学していることになります。「できるだけ初めての施設を」と思い、計画しました。
◆14日。
朝から雨でした。集合時間は8時30分と少し早めだったのにも関わらず、ほぼ時間通りに出発できました。球磨郡まで向かうため午前中は、移動のみでした。
「湯前まんが美術館・公民館」
美術館棟、公民館棟とも構造は同じということだったので、無料の公民館棟のみの見学の予定だったのですが、多くの学生が美術館棟の方にも自費で見学していました。「思っていたより小さいね」という学生の声を何度か耳にしました。
「霧の斎場」
明るすぎず、暗すぎず、自然光をいい具合に取り込めていると感じました。資料にもあるのですが、廊下にむき出しになった黄色の鉄骨部分が難点でした。
「五木村役場」
切り株
内部
アートポリス参加作品ではなく平成12年度に公開(熊本県内)設計競技で決定した作品。集成材を使っていない大型木造(一部RC)。庁舎の玄関に実際に柱に使用した杉の切り株(樹齢130年)がありました。庁舎の周りにも診療所、健康福祉総合センター等もあり、新しい村の中心となっていました。
朝から降っていた雨も昼食を済ませた頃から小降りになり、霧の斎場、五木村役場では傘をささずに見学することができました。今回の宿泊先は前回同様阿蘇ファームビレッジでした。
◆15日。
曇り、暑くないので見学しやすい天気でした。
「一の宮町農林水産物処理加工施設」
竣工したばかりの新しい施設でした。今後、物産館や公園等を建設する予定であるため、外構は出来ていませんでした。吹きさらしの場所にあるため、風雨の影響を受けるとのことでした。
「花の温泉館」
アプローチ部分
巨大なガラス温室と温室の下を潜るアプローチが特徴の建物。しかし、駐車場からの直接のアプローチが出来ないのが不便でした。
「南小国町営矢津田・杉田団地」
建替え前
杉田団地のみの見学でした。住民の方の協力で住戸の中の見学も出来ました。隣りには建替え前の杉田団地(第3期工事)があり、道路の向こう側には第1期工事の矢津田団地が見えていました。
「小国町立北里小学校 屋内運動場」
外部
内部
外部と内部が違う表情を持つ建物でした。体育館部分は空間を広くするため色々な工夫がなされていました。竣工してすぐであったからか、塗料や接着剤の臭いがきつかったです。(気分が悪くなった人も…)
全ての見学を終え福岡へ。
それぞれの見学先で、担当グループのメンバーを中心として積極的に管理者や利用者に質問をしたり、話を伺ったりしていました。中には、コンベックスで階段やトイレの寸法を測り、「設計課題の階段の踏面をいくつにしているけど、このくらいあった方がいいのかな?」と話している学生も。実際の建物(空間)に触れることで、自分自身で使い勝手などを検証し、今後の建築設計への参考になることでしょう。
見学に際して大勢の見学者を快く受け入れて下さった施設の方々、並びに学生の質問にお答え頂いた方々には大変お世話になりました。また、熊本県土木部建築課の前田直樹氏にはKAP見学に際して資料や新しい情報をご提供頂きました。ここに記し感謝の意を表します。
(平成15年6月27日 松田千恵 記)
Copyright© 福岡大学高山研究室 2003