高山研Newsletter (No.21)

 

高山研Newsletter(12月)

すっかりNewsletterを書くのが遅くなってしまいました。
福岡も結構寒くなり、本格的な冬を迎え、あと1週間で今年も終わろうとしています。皆様今年1年は如何だったでしょうか。

研究室の学生は、卒業論文の再提出に向けて頑張っています。次年度の研究生の面接も終わり、新しい研究生が内定しました。ただ、今年度末で牛島先生と加藤先生が退職されますので、計画系の研究室に所属を希望する学生の配属が4月まで未定となります。そのため、内定者の変更・追加の可能性がないとは言えない状況です。これで本学科創設当時の先生方は全て退職されることになります。

そもそも配属を早く決めるようになったのは、大学院がなかった時代、4年生と3年生との引継を春休みに行いたいということがあったためでした。今でもそういった原因もあるかもしれませんが、就職活動の時期が早まったため、就職担当の先生と学生とのコンタクトを密に保つために配属を早めに確定するという意図もあるようです。いずれにしても、今年の3年生にとっては難しい選択を迫られたようです。

卒業論文あるいは卒業設計を課す意図は何でしょう。本建築学科では論文と設計はどちらかの選択です。学生の時に学んだこと、身につけたことを総合してテーマに対してどう取り組むか、どう解決していくか、結果をどう表現するかといったことが試されているのでしょう。能動的な問題解決能力の育成ということもあるでしょう。そのためには与えられたテーマに対して単に作業をするということでは不十分であり、自分で考え行動するということが求められます。その意味で高山研究室では卒論のテーマを自分で設定することを原則としています。他大学の先生に聞くと、「それは学部生には厳しい」というご指摘も受けます。しかし、学生個人の能力にあったテーマを各自が選択し、それに対して自分なりの答えを見つけていく、この中から問題解決に向けた能力を身につけていけるのではないかと考えているからです。

これからの大学はどうあるべきでしょうか。18歳人口は減少し、大学の受験生も徐々に減少してきています。このままでは定員割れを起こす学部・学科もでてきそうです。大学、特に福岡大学のように地方の私学大学の役割を考え直す時期にきていると思われます。大学の役割は研究と教育ということに対して異論を挟む人はいないでしょう。ただ、研究と教育のバランスをどうするのかが問題だと思います。

著名な国立大学は大学院大学を指向し、学生のほとんどが大学院修士課程へ進学するのが現状です。大学での技術者教育の高度化・専門化が要求されているのでしょう。それでは本学でも同様により大学院教育に重点を移すべきでしょうか。そうではなく基礎的な教育に重点をおいた教育がより求められるのではないでしょうか。そのためには、昔の言葉で言えば「読み・書き・そろばん」がしっかりできる学生が求められているのかもしれません。「読み・書き」は学問で、「そろばん」は商売のことが本来の意味でしょうか(どなたかご存じの方は教えてください)。私としては「読み・書き」には読解力と論理的な思考が要求され、「そろばん」は、数学というよりは広く問題解決能力と考えたいと思います。

建築だけに限りませんが、複雑に絡んだ問題を現実的に解決できる能力の基礎を養える様な教育がこれから求められているのではないでしょうか。建築学科でもカリキュラムを見直す機運が高まってきています。日本技術者教育認定制度(http://www.jabee.org/)などへの対応問題もありますし、建築家資格(建築家協会のWEBサイト参照http://www.jia.or.jp/)あるいは技術者資格と大学教育の関係なども問われています。個人的には、2002年度から実施される予定の新指導要領(http://www.naee2002.gr.jp/)が大学教育に与える影響も大きいと感じています。この指導要領では義務教育期間での学習内容が「ゆとり教育」という名の下にさらに削減されます。

建築学科は名称に「工学」という文字がない学科です。これは工学・技術だけでなく芸術も含んでいるためです。それならば、全くの私案ですが、工学部からでて「建築学部」を創設し、その下に、建築学科、建設工学科、都市環境工学科、不動産経済学科などを設置する、というのはいかがでしょう。大学における教育内容などに対する卒業生の皆様のご意見があればお寄せくだされば幸いです。

それでは、良い年をお迎えください。
   
初孫?!いえいえ、彼女は別府花映ちゃん、卒業生の愛娘です。

(平成13年12月24日 高山峯夫記)
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