4秒免震であれば、「建物は地震との関係が切れた」と断言することができます。理想的な免震である5秒免震と4秒免震の性能の差は数%しかありませんが、4秒免震と3秒免震の差は雲泥の差があり、2秒免震に至っては4秒免震とは全く別の物といっても過言ではありません。 「よほどの地震がこないと4秒免震は必要ない」と無責任に考えている人もいますが、3秒免震では、不安要素が残り且つ設計や解析にも信頼がおけないことを十分理解する必要があります。 (3)4秒免震を実現するRSL免震システム 高い信頼性 RSL免震システムは、各部材の実験データが豊富でしかもアイソレータの機能とダンパーの役割を確実に分けていますので、地震時の免震機能を確実に把握できると同時に地震後もアイソレータに損傷が起こらないので、ダンパーのみの点検あるいは交換だけでメンテナンスが完了します。(低コスト) 低コスト(Saving-Cost) 4秒免震を実現するためには、積層ゴムにかかる面圧を150kg/cm2、二次形状係数を5以上にする必要があります。この面圧を実現できるのは天然ゴムで製作されたRSL免震システムの積層ゴムのみで、他の積層ゴムについては面圧70〜100kg/cm2程度にしか出来ません。これは、材質の問題の他に、積層ゴムの中心部に大きな穴が空いていないことで実現が可能となります。(積層ゴムの中心部に大きな穴があると中間鋼板の強度が極端に落ちるため) この積層ゴムにかかる面圧を大きくすることにより、他の積層ゴムを用いた場合より直径を小さくすることが出来、その分コストを押さえることが出来ます。ダンパーを別置きする事で、コストの増加や据付費用が余計にかかるといったことも云われますが、信頼性のある免震構造にするためには、アイソレータとダンパーを別置きにすることは絶対条件(コスト以前の問題)であり、自由な設計を行うためにも必要不可欠となります。 自由設計(Liberty) (4)免震に優位な建物RSL免震システムは、超高層から軟弱地盤のあらゆる構造物に対して適応されます。 |
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(1)イニシャルコスト−1表-1は各免震システムが1トンの建物を支承する時の装置費用を、使用面圧を変えて算出したものです。算出基礎覧には現状の製品定価と各メーカーの推奨面圧の指定値を採用しています。 これから判る通り支承単価は各部材の持つ載荷性能(鉛直支持能力)によって決まる事が判ります。 |
表-1:RSL免震システムの部材価格(円/トン)
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免震システム
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使用面圧(Kg/cm2)
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算出基礎
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60
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80
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100
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120
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140
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RSL
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11,614
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8,711
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6,968
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5,807
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4,977
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φ1000NRアイソレ-タ…340万円
鋼棒ダンパー(41トン)…137万円
鉛ダンパー(10トン)…70万円
支持荷重…1178トン
推奨面圧…150Kg/cm2
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LRB
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8,847
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6,640
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φ1000LRBアイソレ-タ…417万円
支持荷重…785トン
推奨面圧…100Kg/cm2
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HDR
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7,219
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φ1000高減衰アイソレ-タ…340万円
支持荷重…604トン
推奨面圧…77Kg/cm2
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RSLを100とし
た時のコスト比 |
HDR
145 |
LRB
133 |
RSL
100 |
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算出基礎の計算方法 |
(2)イニシャルコスト−2表-2はアイソレ−タの部材コストと取付け費及びダンパーの部材コストと取付け費の一例を示しています。 |
表-2:RSL免震システムの材工価格(円)
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建物重量:10,000トン
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RSL
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LRB
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HDR
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積層ゴムアイソレ−タ
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φ800 14体
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φ1000 14体
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φ1200 14体
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部材費
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30,800,000
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50,400,000
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65,800,000
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取付け費
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1,400,000
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1,400,000
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1,400,000
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鋼棒ダンパー
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φ75 11体
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φ75 5体
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部材費
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7,700,000
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3,500,000
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取付け費
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550,000
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250,000
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鉛ダンパー
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φ180 7体
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部材費
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4,900,000
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取付け費
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350,000
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合 計
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合計( 定価 )
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45,700,000
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51,800,000
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70,950,000
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トン当たり 円/トン
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4,570
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5,180
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7,095
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RSLを100とした時のコスト比
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100
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113
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155
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まとめ |
(3)ライフサイクルコスト |
まとめ 参考文献 |
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(1)RSLシステムでの部材天然ゴム系積層ゴムRSL免震システムの中心部材である積層ゴムアイソレータは、薄いゴムシートと鋼板を交互に積み重ね、加硫成型したものです。積層ゴムが圧縮力を受けたとき、ゴムシートは外側へ変形しようとしますが、中間鋼板により変形が拘束され、加えてゴム材料の非圧縮性によりゴム中心部に3軸圧縮応力(静水圧)状態が形成されます。これは、あたかも水がゴム中に閉じこめられ、ゴムシートが「漏れない水」になっているようなものであり、きわめて大きな鉛直剛性と荷重支持能力を有しています。これらの性質により、究極の4秒免震が実現できるのです。 |
積層ゴムアイソレータの形状 |
FEM解析結果 |
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●写真は、積層ゴム(直径500mm、ゴム厚7mm、ゴム層数14)の3次元有限要素解析による最小主応力分布(軸力200t、せん断変形370mm)です。黄の部分は応力度が小さく、中心に近い部分が最も応力度が大きくなっています。これより、積層ゴムの反力分布の中心が移動し大変形時にも安定して大きな軸力が支持できるメカニズムが形成されていることが分かります。 |
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弾塑性系履歴型ダンパーRSLシステムでは、弾塑性系履歴型ダンパー(鋼棒ダンパー、鉛ダンパー)を採用しています。 弾塑性系履歴型ダンパーの特徴は、
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(1) LRBと高減衰の紹介、RSLの優位性比較代表的な他の免震システムを以下に紹介します。 LRB(一体型)鉛プラグ入り積層ゴム 中間鋼板の中心部に大きな穴(鉛プラグ用)があるため応力集中を受けるので、高面圧、大変形時に塑性化が進み、終局的には中間鋼板に亀裂を生じる可能性があります。 また鉛は化学物質等管理促進法(PRTR法)において第一種指定化学物質に該当し、将来建築物を壊す際に積層ゴム部と鉛部を分別して処理しなければなりません。LRBは積層ゴムと鉛が一体となって製造されている為、廃棄物処理費用は多大なものになると予測されます。 高減衰積層ゴム 天然ゴム系積層ゴム以外のダンパー一体型である高減衰積層ゴムや鉛プラグ入積層ゴムでは、バネの設計域における線形性を犠牲にしてダンパー機能を付加した積層ゴムであるといえ、設計用の解析モデルを作成する際には十分な配慮が必要となります。 また、高減衰積層ゴムや鉛プラグ入積層ゴムは、ダンパーの影響を除いた固有周期が確認できません。ダンパー別置きのRSL免震システムはそれができるので信頼性が高いといえます。 (2)偏心建物の場合の比較RSL免震システムは、ダンパー別置きのため偏心処理が明快かつ簡便です。特に不整形建物や増築がある場合にも、設計者は偏心の処理を極めて容易にすることができます。ダンパー一体型である高減衰積層ゴムや鉛プラグ入積層ゴムでは、ダンパーがアイソレータ位置に限定されるため、偏心処理に限界があります。 (3)4秒免震ができるのはRSLシステムだけ免震構造の1次固有周期の違いによって、地面から建物に入力される地震エネルギーの量が違ってきます。入力される地震エネルギーの量が小さければ小さいほど、建物の揺れは小さくなります。免震構造の1次固有周期を4秒以上にすると、地震波の種類にかかわらず、建物の応答はほとんど一定になり、その応答レベルも小さくなります。 言い換えれば、1次固有周期2秒や3秒の建物では、地震波の種類によっては、建物の揺れは小さくならない場合があります。 建物の周期を4秒以上に設定するためには、面圧が150 kg/cm2程度、2次形状係数(積層ゴムの直径と全ゴム層厚の比)が5程度の積層ゴムをアイソレータに用いることが必要です。このためには、天然ゴム系積層ゴムを使用する必要があります。 天然ゴム系積層ゴムは、引張り強さや伸び、耐クリープ性に優れ、温度変化による物性変化が少なく、高面圧化(平均面圧200kg/cm2)が可能です。さらに、解析のためのモデル化は容易であり、精度が高いといった特長があります。 これに対して、LRB(一体型)鉛プラグ入り積層ゴムならびに高減衰積層ゴムでは、高面圧化に限界があります。バネの設計域における線形性を犠牲にしているため、設計用解析モデルが複雑でありかつ、精度が低いといった問題があります。 究極の4秒免震を実現できるシステムは現在のところRSL免震システムのみです。 |