〈RSL免震システム〉
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1.免震について

1. 耐震・制振、免震構造について


   

世界でも有数の地震国であるわが国にとって、建築の歴史は地震との戦いの歴史といっても過言ではありません。通信やコンピュータが急速に進歩した現代の高度情報社会においては、地震がもたらす被害、社会に与える影響は、はかり知れないものがあります。また、長足の進歩をとげた現代の科学技術をもってしても、地震の発生を正確に予知することはできません。そこで地震から建物を守る考え方に「耐震・制振」「免震」があります。「耐震構造設計」の限界が見えてきた今、空間を浮かせて守る発想「耐震空間設計(免震)」はこれからの地震対策の奔流といえましょう。


「耐震」「制震」と「免震」の比較図


耐震建築
 
免震建築

建物を頑丈に作ることによって、倒壊を防ぐ。現状では、倒壊を防ぐことはできても、激しい振動により人的損害や建物の機能を喪失する可能性が高い。

 

建物の揺れそのものを小さくできるため、人・建物・内部収容物・設備機器などを包括的に守ることができます。

◎ガタガタと強く揺れる(恐怖を感じる)
◎上階になるにつれ、加速度、変位ともに大きくなる

 

◎ゆったりと揺れる(恐怖を感じない)
◎各階とも加速度、変位ともほぼ同じ大きさになる



地震強さ
耐震・制振
免 震
極大
極大
構造体
×
居住性
×
内部機能保持
×
落下物防止
×
◎:無被害 ○:軽損 △:中損 ×:大破・倒壊


2. 免震のメリット―耐震の問題点


   

免震のメリット

  • 家具や什器の転倒や損傷を防止し建物機能を保持する。
  • 建物の耐震安全性が高まり、仕上げ、外装等の損傷もほとんど起こらない。
  • 地震時のパニックやけがの防止に役立つ。
  • 地震後の財産の保持が出来る。
  • 建物に作用する地震力が小さくなる為、柱や梁のサイズが小さくなり、設計の自由度が増し、耐震建物と比べて広い空間を提供する事が出来る。
  • 防振を考慮した設計を行うことにより、鉄道振動等が低減され居住性が向上する。
  • 免震建築は耐震建築に比べてコストが安くなる。
  • 耐震性能が高くなる事により資産価値が高まる。また地震保険も安くなる。

耐震の問題点

1981年に施行された建築基準法の基本とする考え方は「耐用年限中に数度は遭遇する程度の地震(中地震)に対しては、建築物の機能を保持する事とする。また、建築物の耐用年限中に一度は遭遇するかもしれない程度の地震(大地震)に対し、建築物の架構に部分的なひび割れ等の損傷が生じても最終的に崩壊からの人命の保護を図る」となっており、大地震では建物が崩壊しなければよく、建物の機能が維持されなくてもやむを得ないと諦める事になっています。それは安全面と建設コストの両面から考えて必要最低限の安全性確保という事で規定されたものであるからです。

現代の技術の進歩は、揺れに耐えるだけの「耐震」から揺れを制御する「免震」へと揺れに影響されない安全で快適な建物を目指しているのです。



3. 免震の歴史、現在の状況


   

免震という技術が注目されるようになったのは1960年代後半になって積層ゴムが開発されてからであります。積層ゴムは、ゴムと鉄板を何層も重ね合わせて製作されており、鉛直方向には硬く建物重量をしっかり支え、水平方向には柔らかいという性能を持っています。 積層ゴムを用いた免震建物はマケドニアのスコピエ市に建てられたペスタロッチ小学校で1969年に建設され、ニュージーランド、フランス、イタリア、アメリカ、南アフリカ等で免震建物が建設されています。

日本の免震建物の第1号は1983年に千葉県八千代市に建てられた2階建て免震住宅で、現日本免震研究センター社長 多田英之、現東京建築研究所社長 山口昭一により実用化されました。

その後阪神・淡路大震災までの11年で80件位であった免震建物が、以後6年で700件と飛躍的に増加しており免震建物数は世界一である。これも倒壊したりした建物が多かった震災地区で無傷であった建物が免震構造であり免震建物の良さが理解された事によります。

用途的にはマンション、オフィスビルが多く、最近では防災拠点となる病院、庁舎、消防署、学校等へも免震構造の採用が増えてきています。



年度別評定実績

都道府県別評定件数グラフ


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