■県営保田窪第一団地 モダンな外観/機能性の悪さ

中庭の利用頻度は…?
(倉掛健寛)
この団地は、3つの住棟と集会室が中央広場を囲む構成となっている。各住戸は、中庭や広いテラスを持ち、常に外部と接することができる。この住戸の外部と内部は、コンクリート仕上げである。コンクリートは、モダンなイメージをもたらすが、冷たいイメージも与えかねない。住民の方は「こんなコンクリートでは、和んだ話ができない」と語っていた。玄関先で話す人も少なく、近所との付き合いがあまり活発でないのが現状であった。さらにコモンスペースとして設けてある中央広場は、みんなのふれあいの場として配置されていたが、小学生までの利用が現状であり、夏は直射日光が当たり、冬は寒く、ふれ合う状況はあまり期待できない。集合住宅は、ひとつのユニットが大きさや多少の差違はあっても、基本的には、どの住戸にも均一な通風・採光の確保が必要である。しかし、中庭を住棟がコの字に囲んでいるため、各住戸の日射、通風が均一でない。ここの生活環境を考慮しない設計は好ましいとは思えない。

「共に住む」集合住宅とは、個々の生活環境が満たされ、かつ多くのふれ合いの場をもつものではないだろうか...。(江崎聡)

戻る


Copyright© 2004 Architectual Network & Information eXchage