美しい西面のファサード。しかし内部は… (永田哲也) |
雲ひとつない最高の天気の中、この建物の特徴である西面のファサードは、空の青さや正面の木々を反射し、町の景観にうまく溶け込んでいた。西側ファサードの逆ピラミッドが構造体として成立しているのを直に見たときは、写真や図面からイメージする以上の衝撃を覚えた。 業務中ということで内部の見学範囲はロビーまでとなった。ロビーは外から見た明るい印象とは逆に、どんよりと薄暗い。ファサードのハーフミラーが裏目に出ているようだ。警察署員の方に利用者側からの意見を聞くことができたが、「使い勝手が悪い」、「西日が眩しい上に暑い」など評価はよくなかった。ポスターの掲示場所や家具の配置までも設計者側からの制約があるそうで、収納場所の少なさにはかなり困っているという。 全体として意匠面を重視しすぎたため、機能面にかなりの悪影響が及んでいるようだ。「作品としての建築」だけでなく、「人が利用する場としての建築」をどう作るかを、利用者となる人々との対話を通してよく考えておく必要があったように思う。「思いやりの心による設計」が大切だと感じた。(奥村卓也) |
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