■不知火文化プラザ  ミスマッチ感/建築の奥の深さ

出てますね〜、ミスマッチ感…
(深水佐代子)
 私は、この建物の設計者が、「設計する前にまず本を読む」ということにとても興味を抱いており、見学する前からとても楽しみにしていた。

実際に、この建物を初めて見た時の第一印象は、統一感がないということである。具体的には、外部から見ると、アルミのルーバー・直線的な屋根から受ける冷たい印象と木製のデッキ・彫刻のある広場の暖かい印象にミスマッチを感じた。内部から見ると、天井からの人工照明とルーバーから取り入れられる自然光、また、天井のアルミと床 のフローリングにも同じようなミスマッチを感じた。

 見学後、雑誌の特集などを調べてみると、不知火の特性を利用した設計者の意図があることを発見した。それは、古代と未来の間の埋め尽くすことのできな い距離をミスマッチ感で表現するというものである。これにより、不知火町の歴史や文化の継承を守りつつ、地域のアイデンティティを新たな形で構築したのである。私は、その時喉に引っかかったものがとれた気がした。また、同時に建築家のフィロソフィーの深さも感じた。この建物を体感することによって、建築の奥の深さと建築の面白みを再認識した。(早坂 環)

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