■高田あけぼの保育園  自然を取り込む/拒む室内

保育園の象徴☆
(深水佐代子)
住宅や商店の建ち並ぶ通りから路地に入って間もなくすると大きく開けた空間に突如、長屋を思わせるようなシンプルな建物が現れる。それが、高田あけぼの保育園の第一印象だった。

玄関を入るとすぐパンチングメタルの耐震壁が目に入り、その後ろに事務室、更にグラウンドまで視線が通る構成に驚かされる。園内の間仕切りはほとんどにガラスとアクリルボードが使われ、耐震壁に穴を開けて視線を通すことで開放感を演出している。どこからでも園児に目が行き届き、万一の対応が瞬時にできるようにしてあるのであろう。

多く使われているガラスは、晴れの日の日差しをたくさん取り入れる。ところが、そのことが問題となり、どの季節においても日差しが室内温度を高めてしまうという事態をひきおこしている。そこで、夏季はテラスとデッキの上部に日よけネットを覆わなくてはならない。通風においても、北側の窓は不審者の対策で開けられないので空調を使って室内温度を調節しなくてはならない。発育時期の体温調節や発刊作用が未発達の幼児にとっては良くない環境である。

室内環境はあまりいい印象ではなかったが、全体としてワークショップで園長や地域住民の意見が参考になっているため園児に対する細かな配慮がされた建物だった。(高木康太)

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