■八代市立高田あけぼの保育園
オープン計画の追求/シンプルすぎる外観



室内はとても明るく爽快だった(小野良介)
「普通の平家!?…」一斉にこのような声が聞こえた。

ちょっと奥まったところに建ったその建物は、まず正面に来た時から周囲をざわつかせた。しかし、中に入ってみるとそこは外で見たそれとはまったく違った内容だった。内部には、いくつもの思考が組み重なってできたとても合理的な平面計画と、徹底的に地域との共生を追求したオープン計画がすぐに見て取れる。特に印象的だったのが、部屋を仕切っている『壁』というものがほとんどなかったことだ。あったとしてもほとんど開放的なものでガラスやアクリル板を多く使用し、仕切られた感じをまったく受けない。よって、視界を遮るものがなく、空間が一体となって連続した感じを強く受けるのである。

しかし、一つだけ残念だったことがあった。それはテラスに通じる戸が一カ所だけ開放式ではなかったことだ。周りが徹底的にオープンなだけに、それだけが欠点として目立っていたような気がする。また、ディテールでは、開放的なトイレの計画やコルクボードを黒板代わりにつかった扉、さらには無駄のない2段構えの収納の仕掛けなど、そのほかいろいろな仕掛けが至る所にかくされている。これらすべてが、設計者とここで働く立場の人達との共同作業によって創られた結果なのであろう。結局それらは園児の意見でもあったような気がする。(小野良介)

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