■八代市立博物館・未来の森ミュージアム
未来へはばたく翼の館/実用性に疑問あり



伊東豊雄デザインのガラスの展示ブース(池田智之)
「意外と交通量の多い道路沿いに建っているんだなぁ」これが最初の印象である。

未来の森ミュージアムは伊東豊雄により、八代の文化・歴史を保存・紹介するため、1991年3月に八代市の中心の八代城跡公園内に計画された。事前に用意していた資料写真では、緑の多い広場に建てられているイメージがあったが、実際に見るとそこは車と人通りの多い道路に沿って建てられていた。

歩道から来る人々の視覚的な高さを抑えるためにつくられた盛り土の上に「翼を広げている白鳥」のようにメタリックの屋根が架けられており、歩道から続くスロープを上り2階のエントランスへ入るとそこには開放的なホールやカフェ、憩いの場が広がっていた。特徴的な階段を降りた1階には八代の歴史を紹介した展示がされている。事務の方に使い勝手を伺うと、伊東豊雄デザインのガラスの展示ブースは移動ができず、展示物を置く台が不安定などの問題点が指摘され、実用性・利便性に欠けていることが分かった。

周囲の建物との共存は好印象だったが、設備のメンテナンス、身障者への配慮など本当に利用する人々の立場になって物事を考えることの重要さを実感した一日であった。(池田智之)

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