小国ドーム・北里バラン


小国ドーム。この角度から建物全体を見ると、屋内の木の雰囲気とはまた違ってコンクリートや屋根のカーブ、質感など落ち着きがあり、周辺環境に違和感なくとけ込んでいると思う。
(藤原貴代)
◆ 小国ドーム
設  計:葉 祥栄
建築年:1988年
所在地:阿蘇郡小国町


小国町民体育館(小国ドーム)は葉祥栄による設計で1988年竣工。山の中にあり、小国杉に囲まれる自然が豊かなところに建っている。丘を登っていくとその姿は徐々に現れる。外観は東西の面がコンクリートの打放しで南北の面がガラス面になっていて、屋根にはステンレスを用いてあり現代建築そのものとなっている。内部で目を引くのは天井の木造立体トラスであるが、ほかにも木材をたくさん使ってあり暖かみのある空間となっている。

現地に行ってみて思ったことは、外観と内観で受ける印象が違うということ。外観はコンクリートとガラスとステンレスが大部分であるのに対して、内部には木材が多数見受けられる。それも地元産の小国杉を用いている。外観は豊かな自然の中で異質な輝きを放ち、内部では木材による柔らかさ・暖かさを演出して木造の良さを感じる。外観で視覚的に印象を与え、小国杉を用いることで地元の人たちには親しみのもてる建物になっていると言っても過言ではないだろう。

私は思った。木造が可能な部分は積極的に木材を用いたほうが無機質なコンクリートで囲まれた内観よりも利用者は暖かみを感じ、自分たちが「木」に包まれている印象を抱くと…。
(廣中恵申,西田真智子)


小国ドーム内部。小国の木材を使った立体トラスを一面ガラス張りの側面から差し込む自然光が暖かい印象を与えている。
(窪寺弘顕)

北里バラン。周りの環境とうまく調和しており、構造的には横と縦への軸が見られ、うまく一つの建物にまとめられている。木魂館とも相殺せず、お互いに良さを引き出しあっている。
(洞ノ上博行)
◆北里バラン
設  計:桂 英昭
建築年:1994年
所在地:阿蘇郡小国町


北里バランは桂英昭による設計で同じく桂英昭による設計の木魂館に隣接している。木魂館にはない温泉浴場とレストラン機能を持つ食の交流室からなる。地上にレストラン、地下に温泉がある。

浴場はアプローチに関して言うと地階にあるので身障者用のスロープも備えてあるのだが、見た目には狭く見えて実際は大丈夫なのであろうが不便そうな印象を受けた。内部に関しては広くて清潔感があり開口部も大きくガラス越しには小国の美しい緑豊かな自然の風景が一望できる。外部からの利用者も多いらしいので温泉浴場としてはなかなか人気があるようである。

食の交流室はどうかといえば、トップライトから光を十分に受けることができず少し暗い印象を受けた。床には檜を使用してあり触り心地は良かったが靴で入るためあまり実感できず、むしろ何故こんな高価な木を使用しているのかと言った意見も聞かれた。靴を脱いで入れるようにすれば檜の質感を実感でき使用した意味も理解できるのではないか。また、従業員の方の話によれば柱の配置によって室内のレイアウトが限定されるようである。

しかし、主に木材を使ってあることから山々に囲まれた小国の町にも調和しており、地域の人々からも好評を得ているようである。
(廣中恵申,西田真智子)
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