ico_101.gif (121 バイト) 免震構造の特徴

  在来型の耐震構造が、骨組みの剛性・強度・変形能力などを調整することで地震力に抵抗しているのに対して、免震構造は建物と地盤を「絶縁」することで、建物に働く地震力自体を十分小さくする構法である。この絶縁のための具体的な手段として、建物基礎部分にアイソレータと呼ばれる部材を設置する。

  アイソレータには、建物全重量を支持しながら、その載荷能力を失わずに予想される基礎と上部構造との相対変位をクリアーし、かつ地震終了時には原位置に戻る復元力性能が求められる。現在では、最も信頼性が高く、経済的なアイソレータとして積層ゴムアイソレータが用いられている。免震構造の振動収束を早め、かつ応答レベルを恕限度以下に収めるためにダンパー(減衰機構)が併設される。ダンパーは風力などの外乱によって建物が移動を起こさないような固定効果も求められる。

  在来型耐震建築では、建物が地盤に固定されているため、建物の応答加速度は増幅され、基礎部分の地震波の数倍にも達する。このため、建物内の居住者は立つこともできなくなり、かつ内部の計器やコンピューターなどが転倒・散乱するなど、その恐怖は想像を絶する。こうして、建物の機能は麻痺し、機能回復には多くの時間と費用が必要となる。一方、免震建築では、上部構造が一塊となって水平方向にゆっくりと動く。したがって、骨組みの変形は非常に小さくなり、弾性範囲にとどめることが容易であると同時に建物内の計器や機器類の転倒も起こらず、大きな安心感を得ることができる。また、積層ゴムとダンパーの性能は実物実験により事前に確認できる。このため、免震建築が地震時にどのような動きをするかは正確に予想でき、地震時の建物性能を事前に評価することが可能となった。

  この様に免震構造は骨組みと空間の安全性を確保する設計法として登場した。

back.gif (379 バイト)