多田英之先生傘寿および八千代免震住宅20周年記念事業趣意書

 我が国で本格的な免震構造の魁となった八千代台免震住宅が完成したのが昭和58(1983)年、今年で満20年となりました。建物完成時には、福岡大学・ユニチカ株式会社を中心としてさまざまな振動実験を行い、免震構造の性能を確認しました。これらの実験成果を踏まえ、業界や行政も免震構造の性能を認め、免震構造の設計・建設の道筋をつけた建物であるといえます。その後も地震観測などにより免震構造の有効性を示すデータを得てきています。

 八千代台住宅以降、10年間程は、免震構造の有効性が広く認識されず、採用件数も低迷していました。その後免震構造の性能が次第に認識され、免震部材の性能も向上してくるにつれ、免震構造は高層建築や病院など多くの建物に採用されてきています。現在では、我が国の免震構造総数は1000棟に達し、世界の免震技術をリードしています。

 開発初期における「免震」に対する建築界の反応は非常に冷淡で、疑いの目で見られていました。このような雰囲気の中、免震構造を従来の耐震構造に匹敵する構造システムとして体系化できたのは、多田英之博士の並々ならぬ努力による賜であり、先生が建築界ではタブー視されていた免震技術を我が国に普及させた功績は計り知れません。免震技術の発展はそれまでの耐震構造に制震技術を付加するような新たな地平を切り開く契機を与えました。多田先生は、昭和25年に東京大学工学部建築学科をご卒業の後、株式会社日建設計に入社。日建設計時代には、いろいろな建物の構造設計に従事されるとともに、実大実験により構造物の特性を評価されてきました。「神戸ポートタワー」の設計に代表されるように我が国の鋼管構造のパイオニアでもありました。

 昭和51年から福岡大学工学部建築学科の教授に就任され、昭和54年より免震構造の開発に専念されました。昭和56年には積層ゴムの実用化、昭和58年には八千代台免震住宅の現場実験、昭和59年には実大住宅の振動台実験の実施、その後、ダンパーの研究開発など精力的に免震構造の研究を展開されました。その後、1986年には日本建築学会に免震構造小委員会を新たに発足させ、主査として「免震構造設計指針」の刊行(1989年)を成し遂げられました。昭和63(1988)年には、「免震構造設計法の開発に関する研究」に対して日本建築学会学会賞(業績)を授与されています。先生は20年以上にわたり免震構造の実践的研究を継続されてきており、そのエネルギーには圧倒されます。逆に言えば、多田先生だからこそ、現在の免震構造の発展があるといえるのではないでしょうか。

 そこで、我が国の免震構造がようやく二十歳になったことを記念し、あわせて先生の多年のご薫陶に感謝の微意を表すため、発起人一同相はかり、下記のような記念事業を発足させることに致しました。なお、多田先生は平成15年で傘寿(数え80歳)を迎えられます。つきましては、貴台におかれましても何卒趣意にご賛同の上、記念事業にご参加を賜りますようお願い申し上げます。                                     

免震20周年記念事業委員会



多田英之先生が長年にわたって構造設計に携わってこられた足跡を記録した記念誌を作成するとともに、記念パーティと記念ゴルフコンペ(第8回多田杯ゴルフコンペ同時開催)を左記のように企画しておりますので、是非ともご出席並びにご協力を賜りたくご案内申し上げます。


一、記念誌の作成
題 目 「構造設計とともに ―耐震から免震へ―(仮称)」
      多田英之先生が長年にわたって携わってこられた技術研究、構造設計などに
      関する論文や資料などを集めた記念誌にする予定です。
      記念誌の作成に当たって費用をご寄付頂ける場合には、郵便局設置の郵便振替用紙に
      寄付金の金額・ご氏名・ご連絡先を明記のうえお振り込み頂ければ幸いです。
      なお、寄付金は一口 3,000円とし、何口でも結構です。

一、記念パーティの開催

日 時  2003年11月1日(土) 18時00分から20時30分まで
場 所  ホテルオークラ福岡
        福岡市博多区下川端町三―二博多リバレイン 電話092―262―1111
             (地下鉄中州川端駅と直結。福岡空港から10分、博多駅から5分)
会 費  10,000円   ご同伴8,000円
        会費の振り込みをもって申し込みの受付とさせていただきます。
        お申し込みは10月24日(金)までにお願い致します。
        郵便局設置の振替用紙にご氏名(ご同伴の方のお名前)、ご所属をご記入ください。

一、記念ゴルフコンペ
日 時  2003年11月2日(日)  9時50分スタート
場 所  志摩シーサイドカンツリークラブ (福岡県糸島郡志摩町野北575)
参加費  3,000円(当日、お支払い下さい。なお、プレー費などは個人負担です)
        参加を希望される方は、下記までご連絡先(氏名、住所、TEL・FAXなど)を
        お知らせください。参加のお申し込みは、10月17日までにお願いします。
        参加申し込みを頂いた方に、後日コンペの詳細をご案内させて頂きます。

申込先・お問い合わせ先
        福岡大学工学部建築学科 高山研究室
        〒814-0180 福岡市城南区七隈8-19-1
        電話 092-871-6631  FAX 092-864-3655
        電子メール  高山研究室へのメールはこちらへ tkym-lab@fukuoka-u.ac.jp
        郵便振替口座 口座名称 免震20周年記念事業委員会
               口座番号 01780―0―111786