福岡大学における免震構造開発の足跡
1976年 | 4月 | 多田英之教授 福岡大学に着任 (写真1) |
1978年 | 12月 | 免震構造に関する調査・研究開始 |
1979年 | 4月 | 多田研究室としての体制を整える 第一期の卒論生を受け入れる |
1980年 | 6月 | 福岡大学にて振動台及び振動計測装置の設置 鉄骨フレームモデルを使った振動台実験開始 (写真2) |
1981年 | 3月 | 積層ゴムアイソレータの実大実験に成功 (写真3) |
1982年 | 3月 | 福岡大学第2構造力学実験室の新築完成 (写真4) 大型振動実験はじまる (写真5) |
11月 | 八千代台免震住宅に対し建設大臣の特別認可を取得する (積層ゴムを用いた免震建物評定の第1号) |
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1983年 | 1月 | 八千代台住宅現場実験実施 (写真6) 自由振動・強制振動実験、常時微動計測などを、福岡大学・ユニチカ(株)・東京大学地震研究所・建設省建築研究所の共同で実施し、免震構造としての性能を検証した |
1984年 | 3月 | スチールダンパーの研究に着手 (写真7) |
10月 | 豊橋実験実施 (写真8) 実大免震建物の振動台実験を、福岡大学・ユニチカ(株)の共同で実施 |
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1985年 | 1月 | 鉛ダンパーの研究に着手 (写真9) |
1986年 | 11月 | 日本建築学会免震構造小委員会発足 (主査:多田英之福岡大学教授・当時) |
12月 | 建設省新建築構造技術研究委員会発足 | |
1987年 | 10月 | 福岡大学にて2年間にわたる積層ゴムクリープ試験開始 |
1988年 | 4月 | 日本建築学会主催「免震フォーラム」開催 |
5月 | 免震構造設計法の開発に関する研究で、昭和62年度日本建築学会賞受賞 受賞者:多田英之(福岡大学)、山口昭一(東京建築研究所) |
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7月 | 冷間接着型積層ゴムの研究に着手 (写真10) | |
8月 | 第9回世界地震工学会議にて、八千代台住宅の地震時挙動などを発表 | |
Salt Lake City & County Buildingの免震レトロフィット完成 (写真11) | ||
1989年 | 9月 | 日本建築学会「免震構造設計指針」刊行 |
1990年 | 9月 | 積層ゴムの3次元有限要素解析をAmerican Chemical Societyにて発表 (積層ゴムの荷重支持機構を解明) (写真12) |
1991年 | 3月 | 積層ゴムの圧縮破壊実験の実施 (写真13) 三菱重工業長崎造船所8000tonプレスを使用し、積層ゴムの限界耐力を確認する(中間鋼板がゴムより先に破断した!) |
8月 | 免震構造に関する技術援助のため、福岡大学高山峯夫助手(当時)を中国(華中理工大学)に派遣(3ヶ月) | |
1992年 | 4月 | 日本建築学会主催「免震構造に関する国際ワークショップ」開催 アメリカ・イタリア・ニュージーランド・中国などからの参加者が会する |
4月 | 高山研究室にて卒論生を受け入れはじめる | |
1993年 | 5月 | 日本建築学会免震構造小委員会主催「第1回免震構造セミナー」開催 |
6月 | 「日本免震構造協会(JSSI)」設立(会長:梅村 魁・当時) | |
11月 | 日本建築学会「免震構造設計指針 改訂版」刊行 | |
1994年 | 1月 | ノースリッジ地震発生(カリフォルニア) 免震病院で免震効果が期待通りに発揮される (写真14) |
4月 | 動的外乱に対する設計に関する横断的な研究組織を日本建築学会に設置 (免震構造小委員会 他3小委員会) |
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4月 | 積層ゴムの高性能化の研究に着手 (積層ゴムの高い面圧下での挙動と破断限界の把握) |
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8月 | 積層ゴムの高性能化研究の一環として、面圧200kg/cm2下でのクリープ試験の開始(現在も継続中) (写真15) | |
10月 | 冷間接着型積層ゴムの限界変形性能確認試験の実施 | |
11月 | エネルギーの釣り合いに基づいた免震システムの設計マニュアルの発表 (図) | |
1995年 | 1月 | 阪神淡路大震災発生(兵庫県南部地震) (写真16) 免震建物でその性能の確認がなされた。震源域から30kmほど離れた地点にあった免震建物(写真17)で地震記録が観測され、地動300galに対して、1/3〜1/4に応答が低減していた。この後、免震構造の採用件数が増加する。 |
3月 | 多田英之教授 福岡大学定年退職 | |
4月 | (株)日本免震研究センター(SIRC)設立(代表:多田英之) | |
10月 | シンポジウム「耐震設計の一つの新しい方向」が開催される | |
1996年 | 9月 | 「免震 −地震への絶縁状−」出版(多田英之著) |
10月 | シンポジウム「免震構造の研究と設計」が開催される(免震構造小委員会) | |
1997年 | 8月 | 「4秒免震への道 −免震構造設計マニュアル−」(理工図書)の公表 |
1998年 | 8月 | 積層ゴムのオフセットせん断−引張試験の実施(日本免震構造協会) (写真18) |
8月 | 鉛ダンパーの大容量化の研究に着手、同時に鉛ダンパーのFEM解析の検討をはじめる | |
8月 | ASME(San Diego)にて、積層ゴムのFEM解析とクリープ試験に関する実験研究の論文を発表 | |
9月 | 1998年日本建築学会奨励賞受賞(高山峯夫) | |
1999年 | 8月 | トルコ地震の発生 |
9月 | 台湾地震の発生 | |
9月 | 「免震の真実 −耐震神話の再構築へ−」出版(多田英之著) | |
9月 | 耐震工学研究会(EENIX)発足 秋山宏先生、和田章先生、多田英之先生などを特別会員とし、耐震設計や耐震工学の問題についての講演会などを開催 |
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San Francisco City Hallの免震レトロフィット完成 (写真19) | ||
大阪市中央公会堂の免震レトロフィット工事開始 (写真20) | ||
2000年 | 1月 | 第12回世界地震工学会議(12WCEE、New Zealand)にて、積層ゴムのFEM解析、クリープ試験、引張試験の成果を発表 |
6月 | 改正建築基準法の施行 | |
6月 | 日本建築学会振動運営委員会より、免震告示案に対するパブリックコメントを提出 | |
10月 | 免震建築物に関する告示(第2009号と2010号)が制定 本来、6月に制定されるはずのものが遅れた。この告示の制定により、60m以下の基礎免震構造は建築主事の確認でよい体制が制度上はできあがった。 ただ、免震部材の認定作業が遅れたため、実質的な運用は来年以降となった。さらに、運用上の問題、計算法の問題などにより建築確認のルートを利用する件数はすくないようだ。 |
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10月 | 鳥取県西部地震 | |
10月 | U180型鉛ダンパー製品に損傷が発生 免震部材の品質管理のあり方、製品検査のあり方に問題を提起 |
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11月 | EENIX発足1周年を記念してシンポジウムを開催 「21世紀に向けた耐震工学の展望」 パネリストは、和田 章(東京工業大学)、西川孝夫(東京都立大学)、萩尾堅治(大成建設)、秋山 宏(日本大学)、辻 英一(安井建築設計事務所) |
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2001年 | 3月 | 芸予地震 |
9月 | 免震構造設計指針(第3版)が日本建築学会より刊行 東京、大阪、札幌、福岡、高松で講習会を開催 |
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9月7日 | EENIXシンポジウム「建築基準法の改正を斬る!」を開催 パネリストは、多田英之(日本免震研究センター)、秋山 宏(日本大学)、神田 順(東京大学)、川口 衞(法政大学)、渡辺邦夫(構造設計集団) |
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9月11日 | New YorkのW.T.Cビルが崩壊 | |
2002年 | 3月 | 「建築の設計と責任」を岩波書店より出版(多田英之著) |
4月 | 日本免震構造協会技術委員会免震部材部会の活動開始(委員長:高山峯夫) | |
4月11日 | EENIXシンポジウム「建築基準法の改正を斬る!−建築規制と資格制度のあるべき姿−」を開催 パネリストは、大森文彦(東洋大学・弁護士)、藤本昌也(現代計画研究所)、 岡田 恒(建築研究所)、アラン・バーデン(関東学院大学) |
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5月 | 新しい首相官邸が免震構造で竣工 |