in フランス

ロンシャン教会

今回の旅行の私の一番の目的であったロンシャン教会である。 宿泊するホテルはパリ市内にあって予約が完了してしまっていたので、 私達は往復8時間もかけてロンシャンまで行って見学してきた。 正式名は“ノートルダム・デュ・オ” コルビュジエの作品としては、 珍しい有機的な形の建築であり、彼の数ある作品の中で最も著名な建築であり、 またおそらくは最も著名な近代建築であるともいえる。 私達はフランス語もほとんど分からない状態であるのに、 駅からロンシャン教会までの行き方をあまり把握しないまま向かったので、 安易にタクシーを利用してしまった。 このことは自分の中ですごく後悔していることの1つである。 その理由は何故かというと、日本に戻ってきてから読んだ本の中で彼は 丘を上り頂上まで登りつめてこう叫んでいたのだった。 「すばらしい、この丘を登ってくる人びとを教会が迎えてくれるとは、 なんと喜ばしいことだろう。その人たちは皆、まちがいなく息を切らしているだろうから・・・・」 コルビュジエが息を切らしながら彼の足で、目で、 手で触れたそこまでの景色を私はいとも簡単に見落としてしまっていたのだ。 時間もある程度は拘束されていたが、そのせいで焦ってしまった自分の行動が悔やまれるものである。 そうは言っても本と向かい合っている時には感じられなかった敷地内の空気や、 そこからの眺めというものをたっぷりと時間をかけて自分が体験できたということは、 これからの私の財産になるだろうと思う。

バルセロナ現代美術館

この作品は、コルビュジエとは生まれも育ちも時代も違う、白の巨匠と言われるR・マイヤーの作品であり、 1995年にスペインに生み落とされた作品である。 コルビュジエの作品からマイヤーの作品は連想しないのだが マイヤーの作品はどうしてもコルビュジエの影響をうけ、 それを現代風に彼がデザインするとこうなるのではないかと思われてしかたない。 美術館内にあるマイヤー独特の美しいスロープを上りながらもかすかにコルビュジエの存在を感じずにはいられなかった。

ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸

現在、この住宅はコルビュジェ財団として機能している。 正直なところ、コルビュジエの作品を5つ挙げよといわれた時、 その答えとしては、私はここを挙げることはなかったであろう。 ただ、これは旅行で実際に訪れる前の見解であり、 今はこの住宅ももしかしたら挙げるかもしれない。 公道から私道へ入り、少し奥まった所に建てられているため、 私達はこの建物を見つけ出すのに、すぐ近くにいながら随分多くの時間を費やした。 ここに貼り付けてある写真の様子からも分かるだろうが、 外観はこれまでの2つの建築とは違い全体を見渡すことができなかったが、 内観はとても素敵で日本人が苦手な色彩を用いているところがとてもにくかった。

サヴォア邸

1920年代のコルビュジエの住宅の中でも、このサヴォア邸は少なくとも彼が自由に創作した作品といえるだろう。 パリ郊外、ポワッシーに建つこの住宅もロンシャン教会と同様に著名な建築である。 ミーハーといわれるかもしれないが、私はこの住宅を訪れることをとても楽しみにしていた。 サヴォア邸の写真とはあらゆるところで出会い、 それらは私に緑地と白い立方体を思い起こさせていた。 実際、私がサヴォワ邸から受けた印象からいえば、その2つの構成要素だけに限らず、 そこにあるすべてのものが、必然性を持っていた。 残念なことに途中から雨が降ってきて、庭でゆっくりと過ごすことが出来なかった。 それでも、私にとっては居心地のいい場所であった。

文責;川橋紗貴


Copyright (C) 1999-2000 Architectual Network & Information eXchage